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Brume de chaleur「失われた秘薬」その5
2012.03.08 Thursday 01:31
Brume de chaleur「失われた秘薬」その5




――――*――――*――――*――――*――――*――――



『……ち……、……いち…』

懐かしい風景だった。
木漏れ日の日だまりと草花、温かい木々。
優しい風が吹き、何匹かのマーモットたちが寄ってくる。

『…いち……、だいち……』

そして聞き慣れた呼び声。
振り返るとそこには大好きな先生と、そして柔らかい金茶の髪の……、

(いやいや、有り得ないよ! 二人が一緒にいるなんて有り得ない! …そうか、これは夢なんだ)
そう思った途端、呼ぶ声は次第に高く、少ししわがれた声になり…そして目を開けるとそこには…。

「きやーーーーーーーーーーッ!?」



――――*――――*――――*――――*――――*――――



事の起こりは数週間前にさかのぼる。
丁度どこかでの仕事を終わらせたらしいセトと、リムサ・ロミンサの冒険者ギルドで偶然会った時の事だ。
「どうしたの、セト?その髪!」
「…いや、実はね…」
珍しくバンダナを被っていたセトは、泣き笑いのような半笑いでこめかみ辺りを指先で掻いた。そのすぐ横には、元の金茶に薄く青みがかった奇妙な色に染まった髪が覗いている。
話を聞くとどうやら十二跡調査会から回ってきた仕事を受けた兄ゼップの手伝いで、浮海月の巌穴にいるアリオンの体液を頭から浴びてしまったらしい。
弟のサンも少なからず浴びたと言うのに、兄のゼップはまるで被害がなかったと言うセトの話に苦笑して、お疲れ様、と告げたその時だった。
鞄のポケットに仕舞い込んでいたリンクパールが突然光りだし、小さな音をさせて自分を呼び出し始めた。
取り出してみると、それは久し振りに光った十二跡調査会のパール。
まさか、と思わずセトと顔を見合わせてからパールに応答すると、案の定、ゼップが受けたものと同じ依頼を受けてくれないかと言うものだった。
たった今セトから話を聞いたところで、依頼の内容は解っている。改めて内容を簡単に確認し、新たに解読されたヒントだけを聞いてだいちは手短にタタルとの通話を終わらせる。
「解読が少し進んだみたいだ。今度はオイラが頑張ってくるね」
「おー、がんばれ!気を付けて」



またね、と手を振ってセトと別れたものの、さてどうしようかと暫く悩む。
解読が進んだとは言え、まだまだ漠然としすぎている。
暫く考え込んだ後、だいちは溺れた海豚亭の片隅にあるクロウズリフトへと走った。




リムサ・ロミンサランディングから飛空挺で向かった先は、森の都グリダニア。だいちの生まれ故郷だ。
森を切り開いて造られたこの都は、しかし極力森を傷付けぬように自生した木々や清らかに流れる川を利用して作られている。
森と共に生き、森に住まう精霊たちと対話しながら発展した都だ。
その精霊たちとの対話をするのは、カヌ・エ・センナやオ・アパ・ペシを始めとする幻術士たちで、森に結界を張って都を守り、森を守ってきた。
また都を上げて幻術士を育てており、幻術士なしではこの都は語れない。
その幻術士を育てている幻術士ギルドは、グリダニアの中でも最奥にある。
だいちは幼い頃からそのギルドに通っていた。
グリダニアランディングから走ってギルドを訪れただいちは、久し振りに感じる厳粛な空気になぜかホッとする。
ギルドの奥には瞑想窟があり、今日も精霊たちの声を聞くために瞑想を続けている幻術師の姿が見えた。
自分の出発点はここなのだと、だいちは安堵と共に身が引き締まる思いだった。
「…見違えたな、だいちじゃないか」
声を掛けられ視線をやると、そこには幼い頃から世話になっていたマロアールの姿があった。
「……!お久し振りです、マロアール先生」
久し振りに会えた嬉しさから声を上げてしまうところを咄嗟に飲み込み、静かな声で挨拶をする。瞑想の、精霊たちの声を聞く幻術士たちの邪魔にならないように。
「久し振りだな、今日はどうしたんだい?」
「…実は先生方にお聞きしたい事があって…」
だいちは幼い頃からこのギルドの幻術士たちに色々な事を教わってきた。解らない事は何でも幻術士たちに聞いた。子供の些細な疑問にも、幻術士たちは丁寧に答えてくれた。だから今日もここへ足を運んだのだ。
だいちは早速十二跡調査会のタタルから聞いた、解読された言葉を告げて、何か心当たりがないかと訊ねてみた。
「…クラキバショ、アオキモノ、ヨリアツマリテ、ドク、ヒカリ、か…」
マロアールは暫く腕を組んで考え込んだ。
難しそうな顔で考えるマロアールに、やはり先生たちでも解らないだろうかとだいちが思った頃、マロアールは徐に口を開いた。
「…昔、古い幻術士の書に似たようなものが書かれていたのを思い出した。…クィーンボリートを知ってるかい?」
「クィーンボリート…ファンガーの突然変異形の、ノートリアスモンスターですよね?」



「そう、紫色の笠の茸のモンスターだね。そのクィーンボリートが撒き散らす青い胞子を多量に採取して暗い場所で繁殖させると、青い光を放つ。その状態では猛毒だが、何らかの方法で万能薬になるそうだ。古の幻術師たちは毒としてモンスターたちに使い、薬として自分たちに使ったそうだよ。昔からクィーンボリートの子株は、若返りの薬だと言う伝説もあるし…」
「クィーンボリートの胞子…ありがとう、先生!」
そこまで聞いただいちは直ぐ様小さな身を翻し、ギルドの扉へと走り出した。
「こら、静かにしなさい。…ただその胞子を採取する方法が…解ってないんだが…って、もういない…。相変わらずだな…」
勉強家だと思えば猪突猛進するだいちの気性は昔から変わらず、マロアールは隣で話を聞いていたググラと顔を見合わせて肩を竦めた。
一方のだいちは幻術士ギルドを出ると真っ直ぐにチョコボ留へ向かった。
チョコボ屋のグルーデムに急いで預けてある自分のチョコボの支度をさせ、マロアールの話を最後まで聞かなかった事が後の悲劇を引き起こす切っ掛けになるとも知らず、グリダニアからチョコボに乗って飛び出して行った。




クィーンボリートは黒衣森の南に位置する、キャンプトランキルのすぐ西側に生息している。
普段は攻撃性はなく、こちらが何もしなければ至って大人しいモンスターだ。
その外見は紫の笠を持ち、ララフェルのだいちよりも背が高い。見るからに猛毒を持っていそうな禍々しさがある。
キャンプトランキルを西に逸れて少し開けたその場所に、その禍々しい姿はあった。



「コイツの胞子かぁ…。…どうやって集めるんだろ」
今更そんな疑問を持ったものの、だいちはまぁいっか、と呟いて精神をその身に集中させる。そして目を閉じ魔法の詠唱を始めると、次第に大気のエーテルが渦を巻いてだいちの身を包んでいく。
詠唱が終わると同時に渦を巻いていたエーテルを右手に集中させ、そのエーテルを目の前のクィーンボリートへと放った。
エーテルはだいちの詠唱の通り、幾つもの岩となってクィーンボリートに襲い掛かる。
だいちの最も得意とする魔法、ストーンだ。
直ぐに反撃に出るクィーンボリートの攻撃を、だいちは持っていた盾で軽減させた。
「…効かないねぇ」
大したことのないダメージだ。この相手ならば楽に勝てる、そう思い、だいちはニヤリと笑った。
続けてくるクィーンボリートからの攻撃も、そう痛くはない。その攻撃をかわしながら、だいちは再び詠唱を始めた。
何度かその攻防を繰り返すうち、クィーンボリートはあっさりとだいちの足元に倒れてしまった。どうやら加減が必要だったらしい。
「あちゃ…どうしよ」
クィーンボリートが胞子を撒き散らすより先に倒してしまった。元より胞子の採取方法も解らない。
だいちは暫くクィーンボリートの死体を前に考える。
胞子と言うなら笠の裏側の襞から放出されるのだろう。ならばこの笠を持ち帰って、胞子を採取できないだろうか?
だいちは鞄からクリナリーナイフを取り出すと、クィーンボリートの笠を丁寧に切り取った。




「…なるほど、ノートリアスモンスタークィーンボリートの胞子ですか」
「猛毒だから、気を付けて」
ここは東ザナラーンのリトル・アラミゴ。
クィーンボリートの笠を採取しただいちは、そのままチョコボで黒衣森を南下して東ザナラーンに出、キャンプドライボーンを通り越して真っ直ぐこのリトル・アラミゴに来た。
そして今回の依頼人であるカットリオナに、採取して密閉した笠を手渡した。
カットリオナは手慣れた様子で黒い紙を用意すると、マスクと手袋を装備してからクィーンボリートの笠を取り出し、そして黒い紙の上でそっとその笠の裏側の襞を撫でた。
「…ああ、これはダメですよ、Chinju Daichiさん。この胞子は青くないです」
マスクを外したカットリオナが、しかし然程残念そうでもない顔で首を振った。
「えええ、何でだろ?」
「さあ…散布されると青くなるのか、それとも青くなってから散布するのか…」
確かに黒い紙の上を覗いて見ると、そこにはただの白い胞子らしき粉末が僅かにあるだけだった。
採取の仕方が悪かったのか、それともクィーンボリートの胞子というのがそもそも違うのか、だいちがカクリと肩を落とすと、カットリオナはにこやかに笑って使えないはずの胞子を黒い紙の上に更に落とし始めた。
「せっかくですから、この胞子でも薬を作ってみましょう。それにこの笠も使えるかもしれませんね」
そう言ってテキパキとカットリオナは錬金の道具を用意して、薬を作り始める。
その手際の良さを感心して眺めているだいちに、カットリオナは出来たばかりの薬を差し出し、再びにこやかに微笑んだ。



…ここで話は冒頭に戻る。
目を開けるとそこには…、



心配そうに自分を呼ぶ、カットリオナのドアップだった…。

「きやーーーーーーーーーーッ!?」
だいちの悲鳴がリトル・アラミゴ中に響き渡った。

「…失礼な方ですね、私を見て悲鳴を上げるなんて」
何とか二度目の気絶を免れただいちは、ご立腹のカットリオナの前で小さくなって、何度も小さな声でごめんなさいを繰り返している。
「薬を飲んだ途端に倒れられるからビックリしたんですよ?それに先日、Claire Blueさんが持ってきてくれた貴重なマッドベルの花で作った薬も、私が自ら飲ませてあげたと言うのに…」
「…え…えええッ!?そ…それってもしかして…?」
「…………」
恐ろしい想像をしてだいちは思わず青くなる。しかしカットリオナは反して、僅かに顔を赤らめた。
「〇×☆△◎□!!??」
だいちの声にならない悲鳴が、再びリトル・アラミゴを包んだのは、言うまでもない。
「そうそう、新たにヒントになる解読が出来たんですよ。今度は【ナガレクル】だそうです」
既にそんなカットリオナの言葉を聞いている余裕もない程にショックを受けているだいちは、よろよろと立ち上がって歩き始める。
一刻も早く彼女の前から立ち去って、歯を磨いてうがいをして口をすすいで、それから思う存分に寝込みたかった。
しかしそんなだいちに追い討ちをかけるように、まだ僅かに頬を赤らめたカットリオナの無情な声がだいちを襲う。




「ああ、Chinju Daichiさん。Claire Blueさんからのマッドベルで作ったお薬代、5000ギル頂戴しますよ」






(始めて使ってみる追記であとがきのようなものを…)


始めてSSの加工をしたのがカットリオナさんだった事実(ドーン)
恐らくこの後、カットリオナさんはだいちが持ち帰ったクィーンボリートの笠で、
若返りの伝説が本当かどうか試してみたに違いない…。
リトル・アラミゴからカットリオナの姿が消え、いつかどこかに同じ名前の美しい乙女が現れたら、
それは要注意である…;;;;

と言う訳で、このお話はフィクションです!!
誰が何と言おうとフィクションですよ!!!
…あ、でもクィーンボリートの若返りの伝説と言うのは本当で、公式設定ですw

さて、次はLSマスター、ココアさんの最終回です!
ぜひお楽しみに!!

ここまで読んでくださってありがとうございましたー!
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